リハ実践ポケット手帳~PT・OT・STのリスク管理
- 監修
- :聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーションセンター
- 編集
- :横山仁志
- 著者
- :渡邉陽介 最上谷拓磨 佐々木祥太郎 寺尾詩子
八木麻衣子 畑中康志 鈴木智裕 岩澤裕之 西山昌秀
根本慎司 笠原酉介 中田秀一 横山仁志 音部雄平
平木幸治 海鋒有希子 堅田紘頌 水野紗里江
杤本しのぶ 松嶋真哉 小山真吾(執筆順) - ページ数
- :330頁
- 判型
- :B6変形判 2色
- ISBN
- :978-4-908933-33-2
- 予価
- :2,970円(本体2,700円+税)
- 発行年
- :2021年7月
(送料無料)
内容
学生・ベテランを問わず、リスク管理における必携のお守りが遂に完成!!
「リハビリテーションは,リスク管理から始まり,リスク管理に終わる」と誰が述べたか不明だが、さまざまな疾患・合併症をもつ対象者と接するセラピストには、非常に大切な訓辞であろう。例えば、高齢者特有の問題や各疾患の特異的リスク、治療薬の副作用や影響、運動療法や離床時の危険因子、リハビリテーション中止の基準、主治医への報告のタイミングなど、効果的なリハビリテーションを行うには、リスク管理は必修の知識である。
本書は、臨床で押さえておくべきリスク管理について、治療頻度の高い疾患および問題状況を中心に要点を絞って、大切なポイントをわかりやすく解説。早速ポケットに忍ばせ、目まぐるしく回る臨床現場で、ぜひ活用してほしい。
【本書の6大特徴】
①疾患別リハに対するリスク対応が一目でわかり、安全な評価および治療が可能
②急変時の初期対応などセラピストにとって必修な技術を記載
③薬剤・検査データ・医療機器などの必要な知識を網羅
④単なる資料集ではなく,経験豊富な臨床家の視点・コツを解説
⑤いつも持ち歩けて、困った時には手が届くポケットサイズ
⑥最新のガイドラインに準拠した内容を提供
目次
第Ⅰ部 共通項目
- 1.情報収集(診療録・看護記録・重症板など)
- 2.意識レベル(JCS・GCS)
- 3.認知機能(HDS-R・MMSE-J)
- 4.血圧
- 5.高血圧・低血圧の基準
- 6.ショック
- 7.水分バランス(In/Outバランス)
- 8.心拍数(脈拍数)
- 9.心電図①―正常心電図の名称と正常幅
- 10.心電図②―記録紙の基本と心拍数の目安
- 11.経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)・酸素解離曲線
- 12.呼気終末炭酸ガス分圧(ETCO2)
- 13.呼吸数・呼吸パターン
- 14.体温
- 15.疼痛の評価
- 16.ルート・ドレーン・チューブ管理
- 17.運動中止基準
第Ⅱ部 疾患別リスク管理
第1章 脳卒中
- A.共通項目
- 1.脳動脈の解剖と脳血管還流領域
- 2.画像評価(CT・MRIの特徴)
- 3.脳卒中の合併症①─頭蓋内圧亢進症状
- 4.脳卒中の合併症②─てんかん・痙攣発作
- 5.離床開始基準
- 6.離床プロトコル
- 7.離床時のモニタリングと異常時の対応①─脳虚血症状
- 8.離床時のモニタリングと異常時の対応②─NIHSS
- 9.予後予測①─ADL
- 10.予後予測②─運動麻痺
- 11.予後予測③─自宅退院の可否
- 12.高次脳機能障害①─病巣と症状
- 13.高次脳機能障害②─簡単なスクリーニングと評価尺度
- 14.高次脳機能障害③─失語症のタイプとその病巣と症状
- 15.高次脳機能障害④─失語症状のスクリーニング検査
- 16.高次脳機能障害⑤─リハビリテーション
- 17.運動中止基準
- B.脳梗塞
- 1.脳梗塞の病型と臨床症状
- 2.脳梗塞の画像評価①─CT・MRI
- 3.脳梗塞の画像評価②─脳血管造影検査
- 4.脳梗塞の画像評価③─頸動脈超音波検査
- 5.脳梗塞の治療
- 6.再発予防─脳卒中危険因子・生活習慣指導
- C.頭蓋内出血
- 1.脳出血の画像評価─CT・MRI
- 2.脳出血の発症機序と再出血リスク
- 3.脳出血の降圧管理
- 4.くも膜下出血・脳動脈瘤の好発部位
- 5.くも膜下出血の重症度分類とCT分類
- 6.くも膜下出血後の続発症(遅発性脳血管攣縮、水頭症)
- 7.脳脊髄液ドレナージ
第2章 運動器疾患
- A.共通項目
- 1.開放骨折の分類・治療方針
- 2.骨の平均癒合日数
- 3.各組織の修復過程
- 4.外傷・観血的治療後の合併症
- 5.コンパートメント症候群の診断・治療
- 6.腓骨神経麻痺
- 7.手術部感染に関する危険因子
- 8.痛みに対する破局的思考尺度(PCS)
- 9.深部静脈血栓症(DVT)・肺血栓塞栓症(PTE)の発症リスク(Wellsスコアと改訂ジュネーブスコア)
- B.上肢
- 1.上肢に好発する骨折の種類
- 2.鎖骨骨折の分類・治療
- 3.上腕骨近位端骨折の分類と治療
- 4.上腕骨近位端骨折のリハビリテーション
- 5.橈骨遠位端骨折の分類と治療
- 6.橈骨遠位端骨折のリハビリテーション
- 7.上肢末梢神経障害の特徴とスクリーニングテスト
- 8.上肢末梢神経障害のリハビリテーション
- C.体幹
- 1.脊髄損傷の重症度分類
- 2.脊髄損傷の随伴症状
- 3.脊髄損傷の分類(横位診断)
- 4.脊髄損傷の機能予後
- 5.脊椎損傷の分類(金田の分類)・治療・リハビリテーション
- 6.椎間板ヘルニアの評価
- 7.脳脊髄液ドレナージ
- D.下肢
- 1.骨盤骨折の分類・治療・リハビリテーション
- 2.股関節のX線像のチェックポイント
- 3.変形性股関節症の病期分類・治療・リハビリテーション
- 4.人工股関節全置換術(THA)の合併症
- 5.大腿骨頸部骨折の分類・治療・リハビリテーション
- 6.大腿骨転子部骨折の分類・治療・リハビリテーション
- 7.変形性膝関節症の病期分類・治療・リハビリテーション
- 8.膝関節靱帯・半月板損傷の受傷機転・整形外科テスト・治療
- 9.膝関節靱帯・半月板損傷に対する代表的な整形外科テスト
- 10.前十字靱帯再建術後のリハビリテーション例
- 11.足関節果部骨折のLauge-Hansen分類・治療・リハビリテーション
- 12.アキレス腱断裂に対する治療・リハビリテーション
- 13.下肢切断の形態測定
第3章 循環器疾患
- A.共通項目
- 1.動脈の各名称と略語
- 2.12誘導心電図
- 3.代表的な不整脈
- 4.心室性期外収縮の重症度分類(Lown分類)
- 5.ペースメーカーの表記ルール,適応とモード
- 6.心疾患の胸部X線像における異常所見
- 7.心臓超音波検査①─心臓の形態,左室収縮能・拡張能などの評価
- 8.心臓超音波検査②─壁運動の評価
- 9.肺動脈カテーテル(スワンガンツカテーテル)
- 10.機械的循環補助の種類と特徴
- 11.心疾患に用いられる薬物療法
- 12.身体活動とMETs
- B.虚血性心疾患
- 1.虚血性心疾患の分類
- 2.冠動脈の名称と分類(AHA分類)
- 3.再灌流の評価指標と側副血行路の評価指標
- 4.十二誘導心電図の変化と心筋梗塞の部位,閉塞冠動脈の関係
- 5.心筋虚血(ST下降)の判定
- 6.心筋梗塞後の心筋逸脱酵素の変化
- 7.冠動脈血行再建術
- 8.急性期心筋梗塞(MI)後の心リハ(離床開始基準および心リハプロトコル,心リハ進行基準)
- 9.心臓外科術後の心リハ(離床開始基準および心リハプロトコル,心リハ進行基準)
- C.心不全
- 1.心不全の診断基準
- 2.心不全の重症度分類(NYHA分類)
- 3.Clinical Scenario(CS)と治療
- 4.心不全の症状とその出現機序
- 5.心不全のフィジカルアセスメント
- 6.Forrester分類+Nohria分類
- 7.急性心不全後の心リハ(離床開始基準および心リハの進行基準・プロトコル)
- D.血管疾患(大動脈瘤・解離,閉塞性動脈硬化症)
- 1.大動脈瘤の分類
- 2.大動脈解離の分類
- 3.大動脈解離の偽腔(CT上の偽腔の特徴,偽腔の血流による分類)
- 4.大動脈解離の部位と臨床症状
- 5.大動脈瘤・解離に対する人工血管置換術,ステントグラフト内挿術
- 6.コース別の心リハプロトコルと進行基準(保存療法)
- 7.閉塞性動脈硬化症の重症度分類と治療法
- 8.閉塞性動脈硬化症に対するバイパス術およびステント留置術
第4章 呼吸器疾患
- A.共通項目
- 1.肺葉・肺区域
- 2.呼吸不全の分類と基礎病態
- 3.動脈血液ガス分析の検査項目と基準値
- 4.動脈血液ガス分析の異常値と臨床症状,身体所見
- 5.酸塩基平衡障害と代償機構
- 6.呼吸機能検査①─努力肺活量測定
- 7.呼吸機能検査②─健常者・疾患別のフローボリューム曲線
- 8.咳嗽力の測定方法および解釈の仕方(CPEFとCPF)
- 9.胸部X線①─構造とスクリーニングのポイント
- 10.胸部X線②─代表的異常所見
- 11.胸部X線③─シルエットサインの部位とポイント
- 12.フィジカルアセスメント①─視診・触診のチェックポイント
- 13.フィジカルアセスメント②─肺音(呼吸音と副雑音)
- 14.フィジカルアセスメント③─打診
- B.集中治療・周術期
- 1.集中治療における重症度評価指標─SOFAスコア
- 2.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度分類
- 3.疼痛・不穏・せん妄(PAD)①─人工呼吸管理時に使用する鎮静薬の特徴や副作用
- 4.疼痛・不穏・せん妄(PAD)②─鎮静の評価(RASS)
- 5.疼痛・不穏・せん妄(PAD)③─人工呼吸管理時および周術期に使用する鎮痛薬の特徴と投与方法
- 6.疼痛・不穏・せん妄(PAD)④─鎮痛評価スケールの種類と特徴
- 7.疼痛・不穏・せん妄(PAD)⑤─鎮痛評価スケール(CPOT,BPS)
- 8.人工呼吸療法①─侵襲的陽圧換気(IPPV)の代表的換気モードの気道内圧波形と特徴
- 9.人工呼吸療法②─自発呼吸トライアル(SBT)の開始・中止・成功基準
- 10.人工呼吸療法③─人工呼吸器離脱・抜管の成否を判別する予測パラメーター
- 11.人工呼吸療法④─気管内挿管と気管切開
- 12.人工呼吸療法⑤─非侵襲的陽圧換気(NPPV)の代表的換気モードの気道内圧波形と特徴
- 13.酸素療法①─各種酸素投与デバイスと吸入気酸素濃度(FIO2)(低流量と高流量)
- 14.酸素療法②─酸素ボンベの残量計算方法
- 15.代表的な術後呼吸器合併症の危険因子
- 16.集中治療における人工呼吸患者の早期離床の開始・中止基準
- 17.胸腔ドレーンの特徴とチェックポイント
- 18.ICU-AWの診断基準とMRC sum score
- C.慢性呼吸不全
- 1.呼吸困難に関する自覚症状の評価①─mMRC息切れスケール(修正MRCスケール)
- 2.呼吸困難に関する自覚症状の評価②─修正Borgスケール
- 3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のHRQOL評価─COPDアセスメントテスト(CATスコア)
- 4.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重症度分類(GOLD分類)
- 5.慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪時の臨床症状および身体所見
- 6.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の薬物療法
- 7.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予後予測(BODE index)
- 8.特発性肺線維症(IPF)の重症度分類
- 9.6分間歩行距離の評価
- 10.特発性肺線維症(IPF)の治療(薬物療法)
- 11.呼吸リハビリテーション時のモニタリング項目と中止基準
第5章 腎障害・腎疾患
- A.共通項目
- 1.腎機能に対応した腎不全症状
- 2.体液量の評価
- 3.人工透析の種類
- 4.透析の種類と特徴
- 5.バスキュラーアクセスの種類と特徴
- 6.透析患者の管理目標値
- B.急性腎障害
- 1.急性腎障害(AKI)の定義・病期分類
- 2.急性腎障害(AKI)の原因
- C.慢性腎臓病
- 1.慢性腎臓病(CKD)の定義・病期分類
- 2.慢性腎臓病(CKD)患者に対する集学的治療
- 3.腎機能障害患者で注意すべき主な薬剤
- 4.維持透析患者の運動時の注意点
- 5.慢性腎臓病(CKD)患者への運動処方
第6章 糖尿病
- 1.2型糖尿病の病態(インスリン分泌能とインスリン抵抗性の指標)
- 2.糖尿病合併症の分類
- 3.低血糖発作時の生体反応
- 4.低血糖発作の原因と対策
- 5.低血糖発作時の管理
- 6.血糖のコントロール目標
- 7.薬物療法
- 8.食事療法の基本
- 9.糖尿病三大合併症と運動の適否
- 10.運動療法の基本指導と禁忌・中止基準
第7章 その他の患者状況
- A.せん妄
- 1.せん妄の診断基準(DSM-5)
- 2.せん妄の分類
- 3.過活動型せん妄と不穏の鑑別
- 4.低活動型せん妄と認知症の鑑別
- 5.せん妄の前駆症状
- 6.せん妄の危険因子
- 7.せん妄を誘発する薬剤
- 8.せん妄の評価①─CAM-ICU
- 9.せん妄の評価②─DST(Delirium Screening Tool)
- 10.せん妄の対策①─薬理学的アプローチ
- 11.せん妄の対策②─非薬理学的アプローチ
- B.摂食嚥下障害
- 1.摂食嚥下の解剖
- 2.摂食嚥下運動
- 3.摂食嚥下に関連する主な筋と神経
- 4.摂食嚥下障害の原因
- 5.加齢による摂食嚥下機能の変化
- 6.摂食嚥下評価①─評価フロー
- 7.摂食嚥下評価②─カルテから情報収集
- 8.摂食嚥下評価③─スクリーニング検査
- 9.摂食嚥下評価④─スクリーニング検査と食形態の判断例
- 10.摂食嚥下評価⑤─嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査
- 11.摂食嚥下評価⑥─摂食場面における評価
- 12.摂食状況の評価尺度(FOIS:Functional Oral Intake Scale)
- 13.摂食嚥下リハビリテーション①─間接訓練
- 14.摂食嚥下リハビリテーション②─直接訓練
- 15.摂食嚥下リハビリテーション③─気管切開症例の訓練
- 16.摂食嚥下リハビリテーション④─リスク管理
- C.栄養障害
- 1.低栄養の分類
- 2.低栄養の診断基準(GRIM criteria)
- 3.低栄養のリスク─サルコペニアの診断基準
- 4.栄養アセスメント①─必要エネルギー量の計算式および標準的な栄養投与量
- 5.栄養アセスメント②─身体計測とその特徴
- 6.栄養アセスメント③─栄養状態を示す主な血液生化学データ
- D.加齢と転倒
- 1.転倒歴の聴取方法
- 2.転倒の原因と症状を引き起こす薬剤
- 3.筋力の測定法と判定基準(等尺性膝伸展筋力)
- 4.椅子からの立ち座りにおける測定法と判定基準
- 5.フレイルの判定方法─J-CHS基準と基本チェックリスト
- 6.ロコモティブシンドロームの判定方法(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25))
- 7.転倒を予測するパフォーマンス検査①─片脚立位
- 8.転倒を予測するパフォーマンス検査②─FRT
- 9.転倒を予測するパフォーマンス検査③─10m歩行速度(最大・快適)
- 10.転倒を予測するパフォーマンス検査④─TUG
- 11.転倒を予測するパフォーマンス検査⑤─SPPB
- 12.転倒しやすい環境と解決方法
巻末資料
- 1.全血算
- 2.生化学検査
- 3.凝固系検査
- 4.動脈血液ガス
- 5.その他の検査項目
- 6.リハに役立つ略語集