股関節~協調と分散から捉える
- 著者
- :建内宏重
- ページ数
- :272頁
- 判型
- :A5判 2色
- ISBN
- :978-4-908933-28-8
- 定価
- :4,180円(本体3,800円+税)
- 発行年
- :2020年9月
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内容
ヒトの動きの巧みさに魅せられた多くの臨床家に贈る!!
股関節は、脊柱や膝、足など、全身の部位と複雑に関連しており、そのメカニズムや機能障害で生じる問題は奥深く、計り知れない。そのため治療する際、多くの臨床家が複雑な迷路へと陥る、厄介な部位といわれているが、その評価や治療方法は非常に関心が高い。 本書では、股関節における疾患・機能障害および姿勢・歩行の問題に関して「協調分散理論」という概念に基づき評価・治療方法を解説した。この理論は、多くの優れた臨床家によって培われてきた知恵を科学的根拠から整理し、新たな観点を交えたものである。その高い治療効果の道標として、豊富な図と平易な言葉で学習できるようにした。特に「Clinical Advance」では、具体例をとおしポイントを説明することで容易に理解できるよう工夫がなされている。 臨床をより良くするには、発想が大切であり、その科学的根拠を求め挑戦していく必要がある。本書は、この理念に基づき見出された運動機能障害を大きく変化させる確かな技術と、さらなる無限の可能性を追い求めるヒントが秘められた発展的指南書である。
目次
第Ⅰ章 受動的安定化機構(骨)からみた股関節の協調と分散
- 第1節 大腿骨と寛骨臼の形態・静的な位置関係とその以上
- ~適合曲面から捉える
- 第2節 大腿骨・寛骨臼(骨盤)・脊柱の協調・分散とその異常
- ~協調分散理論
第Ⅱ章 受動的安定化機構(関節包・靱帯および関節唇)からみた股関節の協調と分散
- 第1節 関節包・靱帯および関節唇の協調と分散
- ~関節包・靱帯の役割分担
- 第2節 骨と関節包・靱帯および関節唇の協調・分散とその異常
- ~関節唇の無謀な挑戦
第Ⅲ章 能動的安定化機構からみた股関節の協調と分散
- 第1節 股関節のニュートラルポジション
- ~構造からみた特徴的肢位とその機能的意義
- 第2節 股関節周囲筋の作用
- ~生理学的断面積とモーメントアーム
- 第3節 ポジションによる股関節周囲筋の作用の変化
- ~運動軸と筋における位置関係の変化
- 第4節 股関節周囲筋間の協調・分散とその異常
- ~ショートレングス・アイソメトリック・エクササイズ
- 第5節 受動的安定化機構と能動的安定化機構の協調・分散とその異常
- ~関節包・靱帯と筋の連結
- 第6節 股関節深層筋の機能
- ~スタビライザーとして, センサーとして
- 第7節 股関節周囲組織と末梢神経の関係とその異常
- ~絞扼性神経障害
第Ⅳ章 股関節の不安定性に関わる協調と分散
- 第1節 安定化機構の障害と股関節不安定性
- ~運動学的観点と運動力学的観点
- 第2節 股関節不安定性への対応
- ~介入指向的評価から捉える
第Ⅴ章 股関節からみた姿勢における協調と分散
- 第1節 立位における股関節の役割
- ~両股関節間の協調と上半身・下半身のつなぎ目として
- 第2節 立位における股関節と身体重心線
- ~股関節中心と身体重心線の一致
- 第3節 立位における股関節の協調・分散とその異常
- ~受動・能動複合的安定化機構の振る舞い
- 第4節 立位における股関節と下肢・骨盤・脊柱の協調・分散とその異常
- ~アンカーとしての身体重心と第9胸椎, そして2点回転制御
- 第5節 立位からの動きにおける股関節・骨盤・脊柱の協調・分散とその異常
- ~股関節・骨盤・脊柱のリズム
- 第6節 立位姿勢および脊柱の柔軟性と変形性股関節症の進行
- ~ストレス集中が招く疾患の進行
- 第7節 座位における股関節・骨盤・脊柱の協調・分散とその異常
- ~機能的寛骨臼傾斜
第Ⅵ章 股関節からみた歩行における協調と分散
- 第1節 歩行における股関節の役割
- ~荷重受け継ぎ・単脚支持・遊脚肢の前方移動
- 第2節 歩行時の股関節における協調・分散とその異常
- ~筋間そして受動的・能動的要素の協調
- 第3節 歩行における下肢関節・筋間の協調・分散とその異常
- ~股関節と足関節・足部のカップリングとトレードオフ
- 第4節 歩行における股関節・骨盤・脊柱の協調・分散とその異常
- ~股関節と胸椎の協調によるストレス分散
- 第5節 歩行による股関節累積負荷と変形性股関節症の進行
- ~歩容と歩数の相乗作用