脳卒中の教科書~やさしく理解できるリハビリテーション

著者
:鈴木 誠
ページ数
:304頁
判型
:A5判
ISBN
:978-4-908933-23-3
定価
:本体3,600円+税
発行年
:2019年9月


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内容

 難しい発生メカニズム&治療戦略を明解に記した実践テキスト!!

 かつて国民病といわれた脳卒中は、1980年までは死亡原因の第1位であった。現在は、がんや心疾患、肺炎に次ぐ第4位となっている。これは診断・治療が格段に進歩したお陰である。しかしその反面、発症数は減らすことができないため、要介護原因の第1位の原因となり、重要な疾患の一つであることに変わらない。この問題に、セラピストはどのように応えることができるのだろうか。

 本書は、脳卒中アプローチを「情報収集」「機能面の評価」「総合的なリハビリテーション計画」を三大要点に据え、必要な知識である病態のメカニズムを図表136点で視覚的にわかりやすく解説。客観的な指標となる重要な評価については、実際の評価表など図表62点を用いて具体的に説明。最後に「より良いリハビリ」の実現を目指し、真に役立つ実践法から効果検証の方法までを伝える。学生から経験の浅い臨床家にとって、非常に優しく基本的な考え方を学べ、大切な知識を身に着けられる必携書である。

目次

第Ⅰ章 知識に基づく系統的な情報収集のポイント
第1節 診断名の確認が最初の一歩
  • 1. 虚血とは組織に対する血液供給の不足である
  • 2. 出血とは血管外への血液の流出である
第2節 症状のイメージが効果を導く次の一歩
  • 1. 脳梗塞の症状をイメージする
  •  1)アテローム血栓性梗塞は主幹動脈の粥状硬化に起因する
  •   a.意識障害は上行性網様体賦活系の損傷より生じる
  •   b.運動麻痺は皮質脊髄路の損傷により生じる
  •   c.痙縮はγ運動線維の脱抑制により生じる
  •   d.触圧覚と深部覚は前脊髄視床路の損傷により障害される
  •   e.温痛覚は外側脊髄視床路の損傷により障害される
  •   f.脳神経の損傷により運動・感覚・自律神経が障害される
  •   g.認知機能の障害により判断・学習・感情に関する多様な症状が生じる
  •  2)心原性脳塞栓性梗塞は心腔内血栓が脳動脈を閉塞することに起因する
  •   a.内頸動脈の塞栓により意識障害・運動麻痺・感覚障害・構音障害が生じる
  •   b.中大脳動脈の塞栓により運動麻痺・感覚障害・構音障害・認知機能障害が生じる
  •   c.後大脳動脈の塞栓により同名半盲が生じる
  •   d.前大脳動脈の塞栓により運動麻痺・発動性障害・情動障害が生じる
  •   e.椎骨・脳底動脈の塞栓により意識障害・運動麻痺・脳神経障害が生じる
  •  3)ラクナ梗塞は脳深部に生じる直径15 mm以下の脳組織の壊死である 
  • 2. 脳出血は脳実質内で生じる出血である 
  •  1)被殻出血により運動麻痺・感覚障害・半側空間無視が生じる
  •  2)視床出血により運動麻痺・感覚障害・認知機能障害が生じる
  •  3)小脳出血により企図振戦が生じる
  •  4)橋出血により脳神経障害・運動麻痺・感覚障害・企図振戦が生じる
  • 3. くも膜下出血とは,くも膜下腔で生じる出血である
第3節 予後予測に役立つ病歴
  • 1. 脳血管障害の病歴は日常生活の自立度に影響する
  • 2. 合併症の病歴は脳血管障害の再発に影響する
  •  1)高血圧により脳血管障害の再発リスクが高まる
  •  2)脂質異常症により脳血管障害の再発リスクが高まる
  •  3)糖尿病により脳血管障害の再発のスクが高まる
  •  4)心房細動により脳血管障害の再発リスクが高まる
  •  5)慢性腎臓病により脳血管障害の再発リスクが高まる
第4節 症状の予測に役立つ脳画像
  • 1. CT検査で脳出血やくも膜下出血の病巣を確認する
  • 2. MRI検査で脳梗塞の病巣を確認する
  • 3. 脳解剖と病巣の位置から症状を予測する
  •  1)頭頂レベルの画像に中心前回・中心後回・頭頂連合野がみえる
  •  2)放線冠レベルの画像に放線冠・中心前回・頭頂連合野がみえる
  •  3)基底核レベルの画像に前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉がみえる
  •  4)中脳レベルの画像に中脳と側頭葉内側がみえる
  •  5)橋レベルの画像に橋と小脳がみえる
  •  6)延髄レベルの画像に延髄がみえる
第5節 リハビリテーション計画に必要なリスク情報
  • 1. 血圧によって脳血流が保たれる
  • 2. 心拍数は血圧に影響を及ぼす
  • 3. 不整脈は血圧に影響を及ぼす
  • 4. 血糖低下に注意する
  • 5. 低栄養に注意する
  • 6. 脱水に注意する
第6節 リハビリテーション目標に直結する生活障害の把握
  • 1. 運動機能障害により日常生活の自立度が低下する
  • 2. 認知機能障害により日常生活の自立度が低下する
  • 3. 介護者・経済・家屋に関する状況は自宅復帰の可否に影響する
第Ⅱ章 安全で的確な評価のポイント
第1節 リハビリテーションに必要なバイタルサインの評価
  • 1. 意識レベルと自覚症状を確認して脳虚血・心不全・低血糖を推測する
  • 2. 血圧を測定して運動の中止基準と照らし合わせる
  • 3. 心拍数を測定して運動の中止基準と照らし合わせる
  • 4. 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定して運動の中止基準と照らし合わせる
第2節 症状を具体化するための運動機能・認知機能に対する評価
  • 1. 運動機能の評価によって多様な運動機能の障害を把握する
  •  1)運動麻痺を評価する
  •  2)体性感覚を評価する
  •  3)運動失調を評価する
  •  4)関節可動域を評価する
  •  5)運動耐容能を評価する
  •  6)脳神経を評価する
  •   a.視野を検査する
  •   b.眼球運動を検査する
  •   c.顔面の感覚を検査する
  •   d.表情筋の運動を検査する
  •   e.平衡覚を検査する
  •   f.咽頭筋の運動を検査する
  •   g.胸鎖乳突筋の筋力を検査する
  •   h.僧帽筋の筋力を検査する
  •   i.舌の運動を検査する
  • 2. 認知機能の評価により多様な症状を把握する
  •  1)認知症を評価する
  •  2)失語を評価する
  •  3)記憶障害を評価する
  •  4)半側空間無視を評価する
  •  5)失行・失認を評価する
  •  6)注意障害を評価する
  •  7)うつを評価する 
第3節 行動評価でわかる日常生活の問題点
  • 1. 機能と行動は閾値を含む非線形の関係にある
  • 2. 日常生活自立度のスクリーニング検査により全体像を把握する
  •  1)基本的日常生活を評価する
  •  2)手段的日常生活を評価する
  •  3)対象者の希望を聴取する
  •  4)認知症を有した対象者の日常生活を評価する
  •  5)失語を有した対象者の日常生活を評価する
  •  6)注意障害を有した対象者の日常生活を評価する
  •  7)記憶障害を有した対象者の日常生活を評価する
  •  8)半側空間無視を有した対象者の日常生活を評価する
  • 3. 対象者・介護者の希望や行動の難易度をもとに標的行動を決定する
  • 4. 行動を詳細に評価して対象者に説明する
  •  1)潜時の測定により行動開始の遅延を明確に評価する
  •  2)所要時間の測定により行動の遅延を明確に評価する
  •  3)行動頻度の測定により自発的行動を明確に評価する
  •  4)行動要素数の測定により行動要素の問題を的確に評価する
  •  5)行動比率の測定により自発的行動の種類を明確に評価する
第Ⅲ章 予後予測に基づく総合的アプローチのポイント─効果のある総合的な支援
第1節 評価結果に基づくリハビリテーション計画
  • 1. 現状を整理することにより機能と行動の関連性を分析する
  •  1)標的行動に関連する機能障害を抽出する
  •  2)新しい行動レパートリーの獲得状況を把握する
  • 2. 予後を予測してリハビリテーションの見通しを立てる
  •  1)シナプスの再組織化が機能の改善に影響する
  •  2)機能障害の予後に基づいてリハビリテーションの目標を決める
  •  3)行動障害の予後に基づいてリハビリテーションの目標を決める
  •  4)具体的な予後を予測する
第2節 リハビリテーション計画に基づく総合的な支援
  • 1. 機能訓練により機能が向上する
  •  1)機能の改善に伴って行動が改善する
  •  2)先行・後続刺激を整備して機能訓練を定着させる
  • 2. 運動機能訓練により多様な運動機能障害が改善する
  •  1)レジスタンストレーニングは筋力を高める 
  •  2)バランストレーニングはバランス能力を高める
  •  3)ストレッチングは関節可動域を拡大させる
  •  4)有酸素運動トレーニングは運動耐容能を高める
  •  5)上肢の使用訓練は運動麻痺を改善させる
  •   a.目標指向型運動を行う
  •   b.CI療法を行う
  •   c.経皮的電気刺激を行う
  •   d.反復経頭蓋磁気刺激を行う
  •   e.経頭蓋直流電流刺激を行う
  •   f.ミラーセラピーを行う
  •   g.ロボットアシスト訓練を行う
  •  6)嚥下訓練は嚥下障害を改善させる
  •   a.間接嚥下訓練を行う
  •   b.直接嚥下訓練を行う
  • 3. 認知機能訓練により多様な認知機能障害が改善する 
  •  1)回想法・運動療法は記憶障害・行動障害・心理症状を改善させる
  •  2)言語訓練と環境整備はコミュニケーション障害を軽減させる
  •  3)記憶訓練と環境整備は記憶障害を改善させる
  •  4)視覚走査訓練は半側空間無視を改善させる 
  •  5)手がかり刺激と難易度を調整した訓練は失行・失認を改善させる
  •  6)注意訓練は注意障害を改善させる
  •  7)薬物療法はうつを改善させる
  • 4. 行動練習により新しい行動連鎖を獲得する
  •  1)オペラント行動は三項随伴性により成立する随意的行動である 
  •  2)分化強化は特定の行動に強化刺激を提示して行動学習を図る方法である
  •   a.プロンプトにより対象者が失敗する確率を減らす
  •   b.強化刺激により行動学習を促進する
  •   c.予測報酬誤差により行動が増減する
  •   d.報酬予測誤差に応じてドーパミンニューロンが活動する
  •   e.課題提示の方法により学習効果が高まる
  •   f.行動内在的強化刺激により学習効果が維持される
  •  3)適切な行動を増やすことにより不適切な行動を減らす
  •  4)見通しを提示して動機づけを高める
  •  5)強化スケジュールを工夫して行動の定着を図る
  •  6)セルフマネジメントにより行動を維持する
  • 5. 栄養・水分を管理することにより脳血管障害の再発を予防する
  • 6. 褥瘡ケアにより褥瘡を改善させる
  • 7. 家屋改修や福祉用具により日常生活の障害を軽減する
  • 8. 介護者への支援により介護負担を軽減する
第3節 リハビリテーション効果の検証
  • 1. 支援条件を組み立てる方法
  • 2. 測定結果の傾向を把握する方法
  • 3. リハビリテーション効果を分析する方法

書籍